研究課題/領域番号 |
24700922
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
飯田 香穂里 総合研究大学院大学, その他の研究科, 助教 (10589667)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
当該年度も引き続き日本のアイデンティティーと遺伝学や育種学の語られ方の関係を探るため、史料調査・研究を行った。大阪府立大学学術情報センター図書館所蔵の中尾佐助史料コレクションにて、中尾の様々な学術探検計画、調査記録、研究アイディアなどを調査した。さらに、国立遺伝学研究所(三島)、木原生物学研究所(横浜)などにて関連史料を発掘した。また、木原均の遺した史料(書簡等)を整理し、一部デジタル化を行っている。これらの史料をもとに戦後の遺伝学についての分析を進めている。 前年度の研究から引き続き、戦後日本の遺伝学者が遺伝学再建のため、どのように国内外に目を向けていたのか、特に、欧米にできるだけ早く追いつくという目標を掲げる一方で、どのように「日本の」遺伝学ないし育種学について語り、研究を進めていたのかを分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦後日本における育種や遺伝の語られ方を明らかにし、遺伝学や農業と日本人科学者のアイデンティティーの関係を模索することが目標であるが、当該年度は、それに関連する史料を発掘し、その調査から、特に、木原や中尾の農業史や育種史の語りに特徴的なものを見いだすことができている。成果の一部は、国際的な学会やワークショップにて発表を行った。今後はさらに研究・考察を深めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、中尾佐助、吉川秀男、木原均などの著作を調査し、戦前から戦後1940年代~1950年代後半までの間に遺伝学に対する考えがどのように変化したのかを調べる。そこから日本の遺伝学、農業、文化をめぐる語りについて分析し、最終的には「非西洋」であることを意識した当時の日本の科学者のアイデンティティーと科学活動の交錯について考察したい。できる限り研究期間中に執筆してまとめる予定である。
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