研究課題
最終年度は、さらに史料調査を進め、国内図書館で和雑誌の分析を行ったほか、再度、米国フィラデルフィアのAmerican Philosophical Societyにあるアメリカの遺伝学者のアーカイブから日本の遺伝学に関する書簡等を調査した。戦後日本の代表的な遺伝学者である吉川秀男の書簡や吉川について触れた(米国遺伝学者が書いた)書簡なども見つける事ができた。また、昨年度に引き続き、戦前から世界的に知られる遺伝学者の木原均の遺した史料を整理し、一部デジタル化を行った。これまでの研究により、少なくとも1950年代半ばまでは、日本の遺伝学は育種学と密接な関係にあり、遺伝学の「動的」(包括的)アプローチ(遺伝子だけでなく、環境の影響も広く研究対象に含む)も、日本の遺伝学の主流であったといえる。実際、1956年に日本で開催された国際遺伝学会の計画時には、欧米の研究者と日本の研究者との間で摩擦が起きており、これは遺伝学に対するアプローチの違いに起因するものと考えられる。この研究成果は、英文書籍の一章の中でまとめた。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
New Perspectives on the History of Life Sciences and Agriculture (book series, Archemedes)
巻: 40 ページ: 439-458
10.1007/978-3-319-12185-7_21