本研究では、19世紀前半のヨーロッパの電気化学研究を基礎づける物質観(ボスコヴィッチの点原子論やドルトンの原子説など)に注目しながら、イギリスの科学者ファラデーを中心として、デーヴィーやドルトン、ベルセリウスやベルトレといった当時の研究者たちの影響関係やそれぞれの主張に対する批判の論点などを未公刊資料によって調査した。そして、その調査結果について、物質の基本的な性質であるmass(質量・かたまり)概念が、当時の電気化学研究において、現代の力学的な質量概念とはどのように異なる形で存在していたのかについて分析と考察を進めた。
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