1.中国社会科学院において浙江省杭州市・跨湖橋遺跡(約8000~7000年前)、山西省運城市・西王村遺跡(約5700~4700年前)、甘粛省武山県・傅家門遺跡(約5000年前)、上海市・馬橋遺跡(約3900~4100年前)、陝西省西安市・フェン西遺跡(約3100~2800年前)、寧夏省回族自治区・固原県南郊史道洛墓(唐代)から出土した鳥類遺体を調査した。その結果、いずれの遺跡でも形態からニワトリや他の家禽と考えられる骨は認められなかった。 2.山階鳥類研究所でキジ科の現生標本を調査し、中国に生息するキジ科鳥類の同定基準作成に努めた。 3.中国の各遺跡における鳥類遺体の出土状況や出土した骨の形態との比較のために、養安寺遺跡(千葉県・縄文時代中期~後期)、山野遺跡(千葉県・縄文時代後期~晩期)、唐古鍵遺跡(奈良県・弥生時代前期~後期)から出土した鳥類遺体を調査した。このうち、唐古鍵遺跡では弥生時代中期の土坑中からニワトリの骨を検出した。 4.これまでの調査結果を整理・考察し、中国の共同研究者との共著で中国の遺跡出土のニワトリをテーマに2本、中国の遺跡出土の鳥類をテーマに1本の査読付き論文としてまとめるとともに、国際学会2つを含む3回の学会発表をおこなった。また、比較資料として分析してきた日本の遺跡から出土したニワトリの骨に関する知見も査読付き論文としてまとめた。さらに、調査した唐古鍵遺跡、山野遺跡、養安寺遺跡についてそれぞれ論文あるいは報告書を執筆した。
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