美術作品に用いられる膠着材のうち、蛋白質(動物・魚膠、鶏卵、ミルクカゼイン)や植物ガムを検出・同定することを目的として、抗原抗体反応を使ったELISA(酵素結合免疫吸着法)による分析を検討した。各抗体による蛋白質や植物ガムの検出限界は0.1~50 ng/100μLと高感度であり、美術品からごく微量の試料しか採取せずに分析できるという点が、この方法の最大のメリットである。自作サンプルの分析、次いでバーミヤーンなどの石窟群(5~8世紀後半)から採取した壁画試料を分析し、動物・魚膠、卵白、ミルクカゼイン、植物ガムを検出した。
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