日本の鳥類学の草創期に採集された鳥類標本群である、東京帝国大学動物学教室旧蔵標本群と東京帝室博物館旧蔵標本群を対象に、標本ラベルの不明瞭な記載を文献資料から明確にすることを目的とした。東京帝国大学旧蔵標本群では、最も標本数が多かった小川三紀収集標本群を調査した結果、採集期間が1874~1908年であり、採集日や採集場所が不明確であった350点の標本情報を明確にできた。東京帝室博物館旧蔵標本群では、9割もの標本で採集年次が不確定であったが、歴史的背景によって採集年次を限定することができた。明治、大正期に2つの国立博物館が収集した同標本群は、現存する唯一のナショナルコレクションと評価された。
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