温暖湿潤な日本において富士山の永久凍土をモニタリングし,温暖化にともなうその変動と永久凍土の変化に伴う周辺環境の変化を明らかにしたく,研究を実施した。2012年から2014年まで山頂部の2ヵ所で永久凍土の連続観測に成功した。また,富士山の南北断面に設置した表層地温の観測結果から,富士山全体の表層地温分布をGISを用いて推定した。永久凍土の下限は北面で3050-3150 m,南面で3450-3600 mと推定できた。一方,山頂部でも永久凍土が存在しない場所が多いことも明らかになった。地盤の透水性がよいところでは,降雨による熱輸送が凍土を越年させないため,富士山の永久凍土分布は点在的となっていた。
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