本研究では水文気候条件の異なる島嶼(琉球列島,小笠原諸島,およびハワイ諸島)を対象に,外来植物ギンネムの生物学的侵入に着目し,ギンネム優占林の遷移パターンからその影響を明らかにした.その結果,ギンネムの生物学的侵入による影響には気候条件を背景とした地理的な差異が認められた.特に,乾燥した環境下では,湿潤熱帯に分布の中心をもちギンネム優占林を置換することができる種群が欠如することで,ギンネムの維持更新が可能になると考えられた.現在,小笠原諸島ではギンネムの生物学的侵入による影響は限定的であるが,乾燥化がさらに進行することで,より広範囲でギンネム群落が持続する可能性が示唆された.
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