研究概要 |
本年度は、初年度に引き続き、浅間火山南麓の濁川にて2ヶ月ごとの水文調査と地質調査を行った。これにより、初年度に得た炭酸塩堆積物の縞構造が1年に1枚の層(年層)で作られていることを、2ヶ月毎にサンプル採取と薄片観察を行って確認した。これと並行して、源泉から下流5キロメートルの範囲に設けた臨時観測点において、水質観測(水温、pH, EC, DO, ORP, アルカリ度)と採水を行った。そして、採水試料の陰イオン濃度をICP-AES分析で、陰イオン濃度をイオンクロマトグラフィーでそれぞれ定量し、飽和度指数ならびに無機炭酸沈殿速度を求めた。その結果、炭酸塩堆積物の堆積場は、年間を通じて方解石に対して過飽和な水環境であること、方解石の沈殿速度は冬季に比べて夏季に高いことを確認し、薄片観察で見られた縞の成長過程と整合する結果を得ることができた。さらに、火山地域における縞状炭酸塩の堆積条件を解明することを目的として、濁川源泉と同様の炭酸泉を持つ浅間火山の他の沢の水質調査と地形学的調査を実施した。結果、方解石が河床に沈積する条件として、源泉のアルカリ度が重要なファクターであることが明らかとなった。
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