• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

ネパール・ヒマラヤの氷河縮小と地域社会への影響評価

研究課題

研究課題/領域番号 24700949
研究機関信州大学

研究代表者

朝日 克彦  信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (70602150)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード氷河 / ネパール / ヒマラヤ / 氷河変動 / 国際研究者交流
研究実績の概要

平成26年度は,本研究が目的とするネパール東部,クンブ・ヒマールの9カ所の小型氷河のうち,末端変動観測が終了していない2カ所の氷河で観測を行った.併せて氷河下流での利水に関する村落調査を実施した.この結果,過去10年間でAX000氷河は末端位置が平均34m,AX010氷河は平均307m後退し,平均年間後退距離は3.4m,30.7mであった.
観測した9カ所の小型氷河の末端変動をまとめると,今回の観測で1970年代以降,概ね5m弱/年の後退速度であった(ただし,今回の観測で消滅が確認されたED010氷河は除く).また1970年代以降10年ごとの後退速度についても概ねコンスタントに推移しており,近年氷河末端後退速度が加速しているということは必ずしも見いだされなかった.ただし例外的にAX010氷河にあっては1978年以降の平均後退速度は約12m/年,また10年ごとの後退速度も経年ごとに加速し,とりわけ最近10年間で大きい.これはほかの氷河に比べ末端付近の地形形状の影響を受けて大きくなっているものと考えられる.いずれにせよ,IPCCをはじめとする様々な媒体で流布する「ヒマラヤの氷河は世界のどの氷河よりも急速に後退しており・・・」という言説と観測結果は一致しなかった.また近傍の気象測点の観測結果を援用すると,夏期最低気温の上昇がより顕著に表れており,氷河後退の背景にあるものと考える.
氷河下流域の村落調査では農業的土地利用において,融氷河水を含む河川本川を灌漑には利用せず天水に依拠していた.またより広域に捉えた場合も流域面積に占める氷河域の割合は3%に過ぎない.氷河の融解は夏期に生じ,この時期は雨期で河川流量も増加する.したがって,氷河後退の進行が水資源および農業的土地利用に及ぼす影響は限定的である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [学会発表] Changes in frontal positions of small glaciers in Sagarmatha area, eastern Nepal2015

    • 著者名/発表者名
      Asahi, K.
    • 学会等名
      International Glaciological Society Symposium on Glaciology in High-Mountain Asia
    • 発表場所
      ネパール,カトマンズ
    • 年月日
      2015-03-02
  • [学会発表] Field observation of small glacier recession in Khumbu Himal, eastern Nepal2014

    • 著者名/発表者名
      Asahi, K.
    • 学会等名
      Asia Oceanin Geoscience Society 11th Annual Meeting
    • 発表場所
      札幌市,ロイトンホテル
    • 年月日
      2014-08-01
  • [図書] FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ第6巻『マスメディアとの交話』2015

    • 著者名/発表者名
      椎野若菜・福井幸太郎・澤野林太郎・鈴木和歌奈・後藤和子・小林誠・朝日克彦・安田章人・目代邦康・山口欧志
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      古今書院
  • [図書] 『氷河変動の地域性に関する地理的検討』報告書2014

    • 著者名/発表者名
      朝日克彦(編著)
    • 総ページ数
      47(12-17)
    • 出版者
      北海道大学低温科学研究所

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi