ネパール東部,エベレスト山域を対象に,9ヶ所の小型氷河の1970年以降の末端変動を明らかにした.この結果,いずれの氷河についても前回,2004年以降,氷河の末端後退が継続していた.小型氷河の1つは2004年から2012年までの間に消滅していた.氷河末端の後退速度は概ね10m以下/年のオーダーであり,1つの例外事例を除けばその後退速度の傾向も鈍化傾向にあり,世界的に指摘されるような「氷河後退が加速している」に単純にはあてはまらない. また融氷河水の利水は,山間部では飲用・灌漑用ともに利用しておらず,湧き水や天水に依存していた.したがって,水資源の観点からは氷河融解のインパクトは限定的といえる.
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