本研究は、がん幹細胞を根絶させる標的治療の探索を行うことを目標に、細胞内の微小管動態変化を利用して、生体内における抗がん剤耐性がん幹細胞の検出を行うこと、および生体内におけるがん幹細胞の死滅条件の検討を行うことを目的とする。 これまでに、GFPを融合した微小管結合蛋白質EB1を恒常的に発現するヒト乳癌細胞を作製し、その培養細胞におけるパクリタキセル投与後の生細胞と死細胞の判定、および生細胞における微小管動態変化の観察を行なってきたが、本研究の評価系を多様な抗がん剤に応用可能とするために、各種抗がん剤における評価を行った。抗がん剤として、パクリタキセルとは作用機序の異なるビノレルビン、エリブリン、シスプラチン、エピルビシン、エンドキサン、5-FU、イリノテカンを用いて、培養細胞におけるIC30、IC50、IC70を算出し、各条件における生細胞のEB1の動態解析を行った。その結果、種々の抗がん剤においても薬物濃度依存的に生細胞と死細胞の判定および動態変化を観察することが可能であった。 また、本研究の遂行において、マウス頭蓋骨上に作成した腫瘍の心肺運動によるブレを抑えこむことが必要であるため、独自に作製したマウス頭部固定装置を用いて最良の条件で観察することができる腫瘍作成法を十分に検討し、さらにて腫瘍摘出・細胞分離後の解析に用いるフローサイトメトリーFACSを用いて計測条件の検討を行った。
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