研究課題/領域番号 |
24700967
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江幡 正悟 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90506726)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 前立腺癌 |
研究概要 |
マウス実験骨転移モデルの確立:平成24年度はヌードマウスへの移植実験による前立腺癌の実験骨転移モデルと発光イメージング技術を応用した転移巣の検出方法を確立した。レンチウイルスベクター用いることで種々のヒト前立腺癌細胞に蛍光タンパク(GFP)、およびホタルルシフェラーゼをともに安定発現を行った。これら癌細胞を免疫不全マウスの左心室から移植し、血行性に全身骨に移行させ、骨転移病変が形成されるか、マウスのルシフェラーゼのシグナルを経時的に観察した。その結果、癌細胞移植後4週前後から、全身骨やリンパ節でのシグナルを検出するようになることがわかった。さらに観察をつづけ、ルシフェラーゼの発光のあった部位の骨を解剖したところ、GFP陽性の癌細胞が集積しており、移植した前立腺癌細胞がの骨に転移していることがわかった。 セルソーターを用いた高骨転移株の採取:平成25年度は、骨転移巣から高骨転移細胞株を採取する予定であるが、採取に際して使用するセルソーターの機器の基本的な操作を習得した。前立腺癌細胞株には予めGFPを発現させてあるため、容易に分取することができた。 前立腺癌細胞と骨間質細胞の共培養:前立腺癌細胞と骨微小環境との相互作用を観察するため、癌細胞を骨間質由来の細胞と共培養を行い、各々の細胞の増殖や分化などを評価した。この結果、BMPを介して両者は相互作用を行っており、互いの細胞の生存や分化を促進していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験転移モデルの樹立、イメージング技術の応用、セルソーターの技術の習得などが達成され、データ解析に必要な技術基盤が整備されたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新規骨転移関連遺伝子の検索や前立腺癌骨転移骨転移治療実験などを行いたいと考えている。 新規骨転移関連遺伝子の検索:前年度に樹立された前立腺癌細胞高骨転移株および元株とで遺伝子発現を網羅的に解析し、高転移株に特異的に発現している(もしくはその逆)遺伝子を抽出する。 前立腺癌骨転移骨転移治療の試み:検索した候補遺伝子をノックダウンした場合に骨転移の抑制が可能であるか、実験病理学的な検討を行う。また造骨性骨転移の形成にはBMPが重要であることが判明したため、BMPシグナルを阻害する実験も行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では実験動物に対する癌細胞の移植を行い、in vivoでの骨転移活性を評価する系が不可欠であると考える。よって、移植に用いる癌細胞の培養、および多数のマウスの飼育、イメージング実験に使用する試薬の購入に用いる経費を計上した。また、癌細胞における遺伝子発現のプロファイリングを施行する際に、受託解析を行うことを予定しているため、この解析にかかる経費を計上した。
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