マウス実験骨転移モデルの確立:平成24年度はヌードマウスへの移植実験による前立腺癌の実験骨転移モデルと発光イメージング技術を応用した転移巣の検出方法を確立した。レンチウイルスベクター用いることで種々のヒト前立腺癌細胞に蛍光タンパク(GFP)、およびホタルルシフェラーゼをともに安定発現を行った。これら癌細胞を免疫不全マウスの左心室から移植し、血行性に全身骨に移行させ、骨転移病変が形成されるか、マウスのルシフェラーゼのシグナルを経時的に観察した。その結果、癌細胞移植後4週前後から、全身骨やリンパ節でのシグナルを検出するようになることがわかった。さらに観察をつづけ、ルシフェラーゼの発光のあった部位の骨を解剖したところ、GFP陽性の癌細胞が集積しており、移植した前立腺癌細胞がの骨に転移していることがわかった。平成25年度では、多くの幹細胞を用いてこの移植モデルでは再現性を検討したが、安定して骨転移が形成されるため、本移植モデルと発光イメージングモデルは大変適切な系であると思われた。 セルソーターを用いた高骨転移株の採取:前年度に引き続き、骨転移巣から高骨転移細胞株を採取することを試みた。採取に際して使用するセルソーターを使用することを予定していたため、前年度にセルソーターの基本原理や基本的な操作方法を学んだが、実際の実験では必ずしも想定した十分量の癌細胞をソーティングすることができず、以降の実験の進行に困難をきわめた。今後の技術的な改善がのぞまれる状況にある。ただし一方で、一連の実験から、骨転移巣以外の転移巣からの細胞株の採取がそれほど困難でないことも判明し、今後の研究に生かせる技術を樹立できたと判断できた。
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