研究課題
悪性黒色腫は、日本でも近年増加傾向にある悪性腫瘍であり、転移が見つかった患者の5年生存率が低いこと(StageIII-50%, IV-10%以下)、化学療法、放射線治療が効きにくいことから、新規治療法の開発が重要である。申請者らは、家族性悪性黒色腫の原因遺伝子として新たに転写因子MITFを同定した。しかし、新規同定された変異型MITF(E318K)と野生型MITFにおける機能の違いについては、未だ理解されていない。平成24年度は、新規に同定された変異型MITFの機能を明らかにする目的で、その標的遺伝子の探索を行なった。その過程において野生型MITFの新規標的遺伝子として、抗アポトーシス遺伝子BCL2A1を同定し、その発現がBRAF変異特異的分子標的薬であるPLX4720への耐性機構に関与することを明らかにした。平成25年度においては、Resveratrolがヒト悪性黒色腫の細胞増殖を抑制することを明らかにした。また、ヒト悪性黒色腫で変異が同定されたRAC1が、肺がんの治療標的となりうるという結果を得ている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画でMITFの野生型、変異型の機能を比較するという目的をもって研究を進めているが、残念ながら興味深い結果が得られていないのが現実である。しかし、野生型の標的としてBCL2A1を同定したことから、現在BCL2A1を標的とする薬剤の探索など新たな研究も進んでいる。また、悪性黒色腫の治療標的にもなりうるRAC1の研究も進んでおり、十分な結果が得られていると考えられる。
今後も野生型、変異型のMITFの機能の差異を明らかにすることを目的に、研究を進めて生きたい。またBCL2A1、RAC1に関わる研究についても推進していきたいと考えている。
特になし次年度の研究計画に合わせて使用する。
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