がん組織周囲の成熟脂肪細胞の脱分化と腫瘍血管新生への影響について研究を行った。がん化した乳腺上皮細胞と脂肪細胞を共培養したところ脂肪細胞の脱分化が促進された。次に脱分化脂肪細胞と血管内皮細胞の3次元培養を行ったところ脱分化脂肪細胞は血管に付着し血管壁細胞となった。脱分化脂肪細胞とがん細胞のマウス皮下移植では腫瘍縮小効果は見られなかったが、血管壁細胞へ分化した脱分化脂肪細胞による腫瘍血管の成熟化が見られた。これらより、がん細胞の刺激で脱分化した脂肪細胞は脆弱な腫瘍血管に付着して腫瘍血管の成熟化に関与することが示唆され、本結果から将来、がん微小環境を標的とした細胞移植治療の可能性が期待された。
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