研究課題
本研究課題では、以下の項目について検討し、老齢個体でのCD4+T細胞による抗腫瘍効果減弱に対するIL-6の関与と、その分子機構を明らかにすることを目的とした。1) 老齢個体でのCD4+T細胞による抗腫瘍効果におけるIL-6の影響と、IFN-gammaの重要性2) IL-6によるTh1細胞への分化抑制の分子メカニズムこれらの解析の過程で、老齢個体において、がん特異的Th1細胞分化が抑制されることを見出した。さらに、老齢個体におけるIL-6の活性を中和抗体により抑制した場合に、がん特異的なCD4+T細胞におけるIFN-gamma産生能(Th1細胞への分化能)の抑制が解除されることを見出した。このことから、老齢個体では、IL-6シグナルによりCD4+T細胞のTh1分化が抑制されると考えられた。さらに、IFNg産生を抑制されたCD4+T細胞は、腫瘍特異的CD8+T細胞の誘導促進能力が減弱し、老齢個体では効率よくCD8+T細胞が誘導されなかった。その結果CD4+Th1細胞を介した抗腫瘍免疫応答の低下が引き起こされた。以上より、老齢個体においてIL-6シグナルを抑制することは、より効果的な抗腫瘍免疫応答を誘導するための有効な方策の一つであることが示唆された。これらの結果を現在、学術論文として発表する準備を行っている。今後は、IL-6を指標とした免疫療法感受性を有する高齢者の判別、さらにT細胞機能低下の是正のための標的として、IL-6の活性抑制をがん免疫療法へ応用することを目指す。
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Oncoimmunology
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