研究概要 |
本研究では、大腸癌・膵癌・胆道癌患者および健常人の末梢血からRNAを抽出し、独自に作製した約4万種のセンス/アンチセンスRNAの検出が可能なカスタムマイクロアレイで発現変化を網羅的に解析、リアルタイムRT-PCR及びin situ hybridization(ISH)で発現の確認を行う。ヒト大腸癌組織で我々が同定した特定のアンチセンスRNA(Kohno et al, Int J Oncol 2010)と末梢血中で共通に発現異常を示すセンス/アンチセンスRNAのプロファイリングを比較検討する。膵癌・胆道癌組織でも同様に検討を行う。それをもとに、新たに癌スクリーニング検査に有用な遺伝子の組み合わせを30個から50個に絞り込み、末梢血サンプルから診断可能な癌の新規バイオマーカーを同定する。また、ヒト大腸癌細胞株における特定のアンチセンスRNAをsiRNAでknock down, transductionして機能解析を行い、最終的にはアンチセンスRNAの発現と癌の予後、各種治療効果との相関を明らかにする。 平成24年度は研究をスタートさせるための準備と予備実験を中心に活動した。大腸癌に関しては、これまでに大腸癌患者28例、健常人6例のカスタムマイクロアレイによる網羅的解析を行った。術後1週間、3ヶ月の末梢血も解析している。解析の結果、有意差を認めるアンチセンスRNAを同定した。これらのアンチセンスRNAは大腸癌の新たな血中バイオマーカーとなる可能性がある。膵癌および胆道癌に関しては、患者の術前の血液および手術標本より癌組織のサンプリングを行い、現在も検体を収集中である。検体が集まり次第、マイクロアレイを行い解析する予定である。
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