研究概要 |
胃腺癌11例、胃神経内分泌癌9例の癌部及び、非癌部の内視鏡生検を用い、Ion AmpliSeq Panel Kit (Life Technologies)による55個の癌関連遺伝子における遺伝子変異解析及び、Infinium Human Methylation 450 BeadChip array (Illumina)によるゲノム網羅的メチル化解析を行った。 胃神経内分泌癌9例中6例において癌抑制遺伝子であるTP53(5/9)、CDKN2A(1/9)に突然変異を認めた。一方で癌遺伝子には突然変異を認めなかったが、2例においてKRAS(1/9)、ERBB2(1/9)の遺伝子増幅を認めた。これらは、いずれも胃腺癌で報告されている遺伝子異常であった。次に、胃神経内分泌癌のゲノム網羅的メチル化解析の結果から、821個の遺伝子のプロモーター領域に癌特異的なメチル化異常を受けることが明らかとされた。これらについてgene ontology解析を行った結果、nuronal differentiatonやtranscription factorに関連する遺伝子が高率にメチル化異常を受けることが明らかとなった。このうち13遺伝子(RPL37, ZNF175, SLC7A5P1, HAPLN3, GNG7, CCDC126, ZFP3, EIF2C1, HFN1B, ZNF665, TLE1, TMCO1, TMPRSS2)は、神経内分泌癌のみでメチル化異常を受けており、細胞周期や細胞分化に関わる遺伝子を含んでいた。
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