研究課題
肺がんにおいてALK阻害剤が著効するEML4-ALK融合遺伝子の非侵襲的検出法の確立を目的として、血清検体におけるEML4-ALK検出を検討した。平成24年度には、EML4-ALK融合遺伝子は複数のバリアントが存在することから、マルチプレックスによる検出系の検討を行った。また、血清検体でのEML4-ALK融合遺伝子の測定条件の最適化を目指し、測定条件の検討を行った。その結果、EML4-ALK陽性患者2名の血清から、EML4-ALKのバリアント1およびバリアント3aの検出に成功した。一方で、EML4-ALK陽性患者の血清から検出可能であったEML4-ALK融合遺伝子の検出成功率は、12例中2例と低いものであったことから、平成25年度には、血清からのRNA抽出手法の改善を試みた。これまでに用いてきた、カラム法によるRNA抽出法に加えて、磁性ビーズを用いた抽出およびフェノール・クロロホルムによる抽出を行い、カラム法との比較を行った。RNA収量はフェノール・クロロホルムによる抽出法においてもっとも高収量が認められたが、EML4-ALK融合遺伝子の検出成功率に改善は認められなかった。この一因として、血清中に遊離しているRNAが微量でかつ不安定であることが考えられ、RNAよりも安定なDNAを用いた検討を行った。まず、DNA上でのALKの融合部位を検討した結果、EML4遺伝子との融合はALKのイントロン19の約2,000bpの間でランダムに起こっていることが明らかとなった。約2,000bpのイントロン19の領域をすべて増幅できるプライマーのデザインを行い、最適化の検討を行うことで、DNAを鋳型としたEML4-ALK融合遺伝子の検出が可能と考えられる。本研究を通じて、血清中のRNAを鋳型として、低効率ではあるもののEML4-ALK融合遺伝子の検出が可能であった。
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Cancer Science
巻: 104 ページ: 1198-1204
10.1111/cas.12211