固形腫瘍に対する治療は手術と放射線が中心的役割を担っているが、放射線療法は感受性や副作用の個人差が生じることもある。これまでに、申請者らは、食道がんが発現する放射線感受性マーカーを探索した結果、Regenerating gene 1(REG1)を見出してきた。一方、腫瘍細胞のDNA損傷時に誘発G2期チェックポイント機構を阻害することは、DNA損傷を誘導する薬剤や放射線の効果を腫瘍細胞選択的に増強できることが期待されており、新しい抗がん剤開発のための有望な標的経路と考えられている。本研究課題は、放射線感受性マーカーであるREG1とG2期チェックポイント阻害剤という2つの概念を融合し、REG1を高発現した固形腫瘍に対する放射線療法とG2期チェックポイント阻害剤との併用療法の有効性を証明し、放射線療法に着目した新しい個別化療法の可能性を探る研究である。 平成26年度は、前年度に引き続き、腫瘍細胞株のREG1遺伝子発現とX線感受性の関連性の評価を進め、①REG1遺伝子高発現/X線高感受性群、②REG1遺伝子高発現/X線低感受性群、③REG1遺伝子低発現/X線高感受性群、④REG1遺伝子低発現/X線低感受性群の計4群に分類を進めた。 今後、①REG1遺伝子高発現/X線高感受性群に対する放射線照射とG2期チェックポイント阻害剤の併用効果をin vivoおよびin vitroで解析を進め、REG1高発現患者に対する個別化療法としてのG2期チェックポイント阻害剤の有効性を確かめていく予定。
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