研究概要 |
近年の様々な治療法や集学的治療法の開発により、特に消化器癌治療では、腹腔鏡手術や内視鏡治療により、実際に多くの患者さんが低侵襲に治療を受けられるようになってきた。特に、高齢者や、進行癌に対する低侵襲治療法の確率は急務である。 現在までの研究で、リポソームに抗癌剤(ドセタキセル)と金属磁性体(マグネタイト)を同時包埋したDMLを新規に開発し、実際にヒト胃癌皮下腫瘍モデルのマウスに投与して、DMLの誘導加熱によって、局所の優れた抗腫瘍効果が得られることが現在までの我々の実験で明らかとなっている(International journal of Cancer, 2010)。 その際、同時にDMLが腫瘍近傍のリンパ節に移行することも証明され、この特性を生かして所属転移リンパ節も同時に治療が可能となると考えられ、今回の研究を行っている。 そこで、今年度の研究においては、まず、リンパ節転移を有する腫瘍モデルの作成を行った。 ヒト胃癌細胞株NCI-N87(HER2過剰発現)をヌードマウス18匹の盲腸腸間膜側の漿膜下に移植し、3,4,5,6,7,8週後に各々3匹づつを再開腹して盲腸腸間膜リンパ節を摘出して検鏡して転移の有無を調べることを行った。 なお、DMLの作成については、問題なく作成できており、これに抗腫瘍モノクロナール抗体を標識することも(免疫DML)同時に実験を行い、その成果は既に論文掲載されている (Int J Oncol, 38: 33-39, 2011)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リンパ節転移モデルを作成したが、うまく周辺のリンパ節に転移を認めたものはわずかであった。 そのため、現在は細胞株をMKN45に変更したり、腫瘍細胞のインプランテーション方法を注入から皮下腫瘍モデルの腫瘍塊を直接腸管に縫い付けて植え付ける方法に変更したりして工夫を行い、転移を起こす率を上げるよう努力している。 抗体標識DML作成については、表面に抗腫瘍モノクローナル抗体を標識しその性状を電子顕微鏡にて評価するが、すでに方法は確率され、方法については論文掲載されて評価されている(Int J Oncol, 38: 33-39, 2011)。
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