研究概要 |
近年様々な治療法や集中的療法の開発され、特に消化器癌治療では腹腔鏡手術や内視鏡治療により、実際に多くの患者さんが低侵襲に治療を受けられるようになっている。ただし、これらの治療にも限界や制限が存在し、例えば、早期癌(胃・大腸)に対しての現在の治療方針ではリンパ節転移の有無のみで治療の侵襲度が大きく異なる。 今回の研究では、金属磁性体と抗癌剤を同時包埋したリポソーム(DML)に誘導加熱を行うことで腫瘍局所の抗腫瘍効果を証明し、さらに腫瘍局所のみならず所属転移リンパ節に移行したDMLによって転移リンパ節も同時に治療を行うことが可能であることを明らかにし、また、DMLに抗腫瘍抗体を標識した免疫DMLを用いることで、その抗腫瘍効果の増強が可能かどうかを確認することを目的とした。 当初、リンパ節転移を有する腫瘍モデルの作製作製したモデルの盲腸の原発巣に免疫DMLを注入し、3,6,12,24,48,72時間後に犠牲死させて転移リンパ節を摘出し(各n=6)、リンパ節をベルリンブルー染色して金属磁性体の移行の証明を試みたが、満足のいく集積は認められなかった。そのため実験を見直すこととした。 ・実験1…マイクロバブルリポソームの作製。・実験2…マイクロバブルリポソームの殺細胞効果の検討。・実験3…DOXの細胞内への取り込みの評価。・実験4…マイクロバブルリポソームの抗腫瘍効果の検討。 以上の実験結果から、転移初期の治療法として、マイクロバブルリポソームは転移リンパ節への取り込みがDMLよりも高い可能性が示唆された。DMLから薬剤を変更して実験を行ったため、予定の期間内では期待された実験券結果を導きだすことができなかったが、マイクロバブルリポソームが転移リンパ節への集積が期待できることから、マイクロバブルリポソームへ金属磁性体を包埋してしようすることで、誘導加熱が行えるように現在も実験を継続している状況である。
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