GATA-6は初期胚の分化・増殖に必須の転写因子である。近年では消化器系の癌の増殖や生存に関与することが知られている。本研究では、『癌化学療法における分子標的として、GATA-6分解系はどの程度有効であるか』を明らかにしたいと考え、具体的に2つの課題:(1)GATA-6の分解を誘導するシグナル伝達経路の解明、及び(2)GATA-6分解誘導による抗癌作用の検証、を設定した。課題(1)では、種々のリン酸化酵素(キナーゼ)のスクリーニングを行い、新規な分解経路を見出した。課題(2)では、GATA-6の分解誘導薬によって、大腸癌細胞の細胞周期を分裂期で停止させ、増殖を抑制する作用が認められた。
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