研究概要 |
本研究の目的は、体外エネルギー(超高性能高周波発生装置、超音波)を用いた金属ナノ粒子による抗腫瘍療法の開発である。治療対象は肝細胞癌であり金属ナノ粒子は局注および肝動注により腫瘍に選択的に集積させる。具体的には、①高機能性鉄磁性体微粒子肝動注後の超高性能高周波発生装置を用いた磁場発生による温熱療法、②二酸化チタンナノ粒子肝動注後の超音波照射によるフリーラジカル発生を利用した抗腫瘍療法である。 肝癌細胞株としてラットの腹水肝癌細胞株(AH-130)を使用した。T細胞機能欠如マウス(BALB/cAJcl-nu/nu, 6週齢雄)の背部皮下にラット腹水肝癌細胞(AH-130, 1.0×106個/0.1ml) を注入した。注入後約1週間で腫瘍は触知可能となり、その大きさが約5mm×5mm以上になった時点で腫瘍を取り出した。取り出した腫瘍を、約2mm×2mmの大きさにし、T細胞機能欠如ラット(F344/NJcl-rnu/rnu, 8週齢雄)の肝左葉外側区の肝実質下に移植し、2週間の観察期間を置いた。まず、腫瘍動態を評価するために、腫瘍移植後4日目、6日目、8日目、10日目、15日目に肝臓を取り出し、腫瘍体積の測定、ラットの体重測定を行った。腫瘍体積は、G.Carlssonらの報告を参考にし(J Cancer es Clin Oncol 1983,105:20-23)、V=a×(b)2/2 (largest(a) and smallest(b) superficial visible diameters)にて算出した。その結果、腫瘍は移植後8日目より腫瘍体積の増加速度が速くなる傾向を認め、ラットの体重は移植後10日目より減少に転ずる傾向を認めた。
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