本研究の目的は、体外エネルギー(超高性能高周波発生装置、超音波)を用いた金属ナノ粒子による抗腫瘍療法の開発である。治療対象は肝細胞癌であり金属ナノ粒子は局注および肝動注により腫瘍に選択的に集積させる。具体的には、①高機能性鉄磁性体微粒子肝動注後の超高性能高周波発生装置を用いた磁場発生による温熱療法、②二酸化チタンナノ粒子肝動注後の超音波照射によるフリーラジカル発生を利用した抗腫瘍療法である。 前年度報告したラットの腹水肝癌細胞株(AH-130)を使用したモデル(マウス皮下で固形にしたAH-130をT細胞機能欠如ラットの肝左葉外側区の肝実質下に移植したモデル)では動脈優位性を確認できなかった。そこで、Diethylnitrosamine(DEN)を用いた発癌モデルを作製した。135mg/lのDENを3週齢のSDラットに飲水として与えた。2~3カ月後に発癌が確認された。Rigaku実験動物用3DマイクロX線CT R_mCT2にてCT撮像を行った。イオパロミンを用いた動脈相のDynamicCTにより動脈優位性を確認した。これにより、臨床に近い動脈優位な肝癌を持ったラットモデルが確立された。 ラットの肝動注手技の方法は、胃小弯側と癒着したcaudate lobe of liverを剥離し、現れた肝十二指腸間膜から胆管、門脈をきれいに剥離し、動脈のみを露出させることにより確立したが、治療までは至らなかった。
|