研究課題
若手研究(B)
抗がん剤耐性メカニズムの研究として、最も予後不良な悪性腫瘍のひとつで、かつ有効な抗がん剤治療が少ない肺がんにおける抗がん剤耐性メカニズムの解明に対し細胞株を用いて行い、FOXQ1遺伝子は肺がん細胞株(H1299)においても高発現している遺伝子であることが確認できた。FOXQ1高発現により抗がん剤によるアポトーシス耐性が誘導されることも確認できた。大腸がんで高発現しているFOXQ1の機能が肺がんにおいても同じ機能を有していることが確認出来、肺がんにおけるFOXQ1高発現が抗がん剤耐性に関与していることが示唆された。肺がん細胞株にFOXQ1遺伝子を高発現させるとVEGFが高発現することも見出せ、FOXQ1高発現がVEGF発現誘導による腫瘍血管新生促進に関与していることが確認できた。マウスを用いた研究では、FOXQ1高発現により腫瘍増殖能亢進作用があることが示された。以上より、肺がん細胞株におけるFOXQ1高発現の機能解析では、肺がん細胞におけるFOXQ1高発現は、抗がん剤によるアポトーシス耐性を誘導、VEGFの発現を誘導、VEGF発現誘導による腫瘍血管新生促進に関与していることが示された。
2: おおむね順調に進展している
肺がん細胞におけるFOXQ1高発現の機能解析において、肺がん細胞にFOXQ1を過剰発現させ増殖能、浸潤能、アポトーシス作用への影響を検討し、FOXQ1高発現により抗がん剤によるアポトーシス耐性が誘導されておりFOXQ1高発現が抗がん剤耐性に関与していること、FOXQ1遺伝子を高発現させるとVEGFが高発現すること、FOXQ1高発現がVEGF発現誘導による腫瘍血管新生促進に関与していること、マウスを用いた研究では、FOXQ1高発現により腫瘍増殖能亢進作用があることが示され、肺がん細胞におけるFOXQ1高発現は、抗がん剤によるアポトーシス耐性を誘導、VEGFの発現を誘導、VEGF発現誘導による腫瘍血管新生促進に関与していることが示された。以上より、当初計画していた肺がん細胞におけるFOXQ1遺伝子の高発現の機能解析が行えている。
肺がんの臨床検体を用いたFOXQ1の発現の測定と高発現の頻度を明らかにする。当院で診断された非小細胞肺がん症例の臨床検体を用いてがん細胞のmRNAを抽出し、これを試料としてFOXQ1の発現を測定してFOXQ1の発現レベルを検討する。また、各肺がん症例の正常肺組織と肺がん組織のペアサンプルを用いてFOXQ1の発現量を比較検討する。FOXQ1の発現量はreal time RT-PCRを用いてmRNAレベルで発現量を定量化する。またVEGFの発現量も同様に定量化し、FOXQ1の発現量との相関性を検討する。パラフィン包埋ブロックの病理スライドからのmRNA抽出し、real time-RT PCRで発現量を測定する。FOXQ1の発現量と患者背景因子である生存期間や治療効果等との相関解析を行う。この解析を通してFOXQ1発現のバイオマーカーとしての有用性を検討し、最終的に臨床試験において検証価値があるかを判断する。FOXQ1の発現と肺がんの化学療法 (分子標的薬を含む)に対する治療効果および予後との相関解析を行う。臨床検体を用いて測定されたFOXQ1の発現と測定に用いた検体の患者背景因子(性別、年齢、全身状態、喫煙歴、病期、EGFR遺伝子変異の有無、治療効果、生存期間)をもとに、FOXQ1の発現と抗がん剤やEGFRチロシンキナーゼ阻害剤による治療効果、予後等との相関解析を行う。
該当なし
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