乳がんは、治療法の改善などにより生存率は高くなっているが、あらゆる段階で身体面だけでなく、心理・社会的苦痛を受けることが報告されている。それにともない、治療期間中や治療後に実施される心理社会的介入の効果が期待されている。 本研究では、術後補助化学療法を受けた乳がん患者を対象にQOL評価を実施した無作為化比較研究を対象にし、心理社会的介入効果を、Quality of life(QOL)の変化の相違という観点からシステマッティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。この結果は海外雑誌に掲載された(QOL Life Res 2014 23(1) 21-30)。また、この結果より、乳がん患者に実施する心理社会的介入の効果のエビデンスがQOL評価より明らかになった。 また、QOL質問紙の特徴を考慮し、メタアナリシスの方法のひとつである多変量メタアナリシスについての検討も実施し、学会発表した(口演 2014年度 日本公衆衛生学会 栃木)。 今回のメタアナリシスの結果より、日本での心理社会的教育の効果につて検討する。今後、外来化学療法を受ける乳がん患者に対し、心理社会的教育の介入のひとつであるワークブックによる介入を実施し、その効果をQOLおよび心理的適応の観点から検討する。この研究の実施にあたり、まず、外来化学療法を受ける乳がん患者のQOL状況について調査した。この結果は学会で報告した(口演 2014年度 日本疫学会 愛知)。
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