研究課題
本研究の目的はがん患者のがん登録資料や各種データベースを用いて、がん患者の予後予測モデルを作成することであった。2年目までに研究協力者とともに開発した解析手法(過剰死亡ハザードモデルを用いた樹木構造接近法)およびその分析ツールを用いて、非小細胞肺がん患者を例に予後予測モデルを作成した。非小細胞肺がん患者のデータは院内がん登録と生活習慣アンケートをリンケージしたデータベースより得た。2004-2008年に診断された患者475例を3-5年追跡したデータを分析したところ、診断時の臨床進行度、喫煙の有無、がんの組織型(扁平上皮がん)で5群に分類された。症例数および死亡イベント数が少なかったため、10年以上追跡されている1993-2001年に診断された700例の非小細胞肺がんのデータについても同様の分析を行った。最終年度はより詳細の臨床情報を用いるために、診療科データベースをリンケージし、1629件の非小細胞肺がんのデータを用いてさらに分析を行った。診療科データベースとのリンケージにより、手術が不要なサイズの小さいすりガラス状腺がんを分析から除外するなどの対応が可能となった。また、診療科データベースの情報に基づき、診断時の臨床病期ごとに樹木構造の推定を行うなど、より臨床に即した予後予測モデルの推定が可能となった。また、本研究で提案した方法論の適用事例により、今後、がん登録を基軸とし様々なデータベースをリンケージすることで、臨床応用可能ながん患者の予後予測モデルを推定し、役立てる道筋を示すことができた。現在の分析ツールは最大でも2000件未満のデータにより分析を行っているため、大規模データベースに対応していない。また、候補となる変数も20個が限度となっているため、今後、ゲノム情報や治療内容など、より多くの予後因子を探索的に分析に含めるためのツール開発が必要である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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