地球温暖化による海水温の上昇および海氷の融解による塩分濃度の低下が進行すれば,深層循環に影響を及ぼし,地球の気候に大きな変化を及ぼすことが懸念される. そこで,氷海-波浪水槽を用いた実験を行い,海氷生成過程における海水温度,塩分濃度および氷厚の時間変化の特性を明確にする.その結果,水温‐2.2℃が氷厚や塩分濃度の劇的な変化を引き起こす臨界温度と推察される.さらに,グリースアイスでは,大気からの冷却作用が氷層下に及び,海水温の低下によるフラジルアイスの生成を促し,氷厚および塩分濃度の増加を生む.一方,パンケーキアイスでは,冷却が氷盤に作用し,その影響が氷厚の成長よりも面積の拡大に及ぶと考察される.
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