研究課題
海洋観測および実験室実験から得られた海水中の溶存酸素濃度とその安定同位体比(d-18O)の関係から、酸素飽和度が低い時に(<~60%)、同位体分別が非常に小さい、もしくは分別を伴わない酸素消費プロセスが存在するという可能性を3-Dモデルにより検証した。有機物分解や呼吸による酸素消費速度および物理場(移流・拡散)についての感度実験を行った結果、これらの要因では、実際に得られた海水中の溶存酸素濃度とその安定同位体比(d-18O)の関係を説明することは不可能であった。中深層での酸素消費過程における酸素同位体分別効果を、これまで海洋表層や実験的に得られた値 (~20‰)よりも小さい値(~10‰)へと変化させた場合に、酸素飽和度<~60%の酸素安定同位体比(d-18O)を含む全ての観測値を3-Dモデル計算で再現することができた。これらの結果から、比較的酸素飽和度が大きい海洋表層などでは、酸素消費過程における同位体分別はこれまで報告されている20‰で酸素消費プロセスが行われているが、酸素が乏しい中深層では、酸素消費プロセスの際に生じる同位体分別効果がこれまで一般的に受け入れられている分別効果よりも小さくなるプロセスが作用していることが明らかになった。
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Monographs on Environment, Earth and Planets
巻: 2 ページ: 1-22