研究課題
前年度のシミュレーションで得られた知見に基づいて実際の観測アルゴリズム開発を検討したところ、地表面反射率の天頂角・方位角依存性(BRDF)の影響において、各地表面グリッドにおける地表面被覆タイプによる依存性の違いを考慮することが必要であると考えられた。そのため、まずは地表面被覆タイプごとのBRDF特性の経験的モデルを作成することとした。地表面被覆タイプのデータとしては、ALOS衛星搭載のAVNIR-2センサによる高解像度土地利用土地被覆図を利用した。関東域をテスト領域とし、各被覆タイプごとにBRDFパラメータを平均し、経験的モデルとした。本研究で提案する観測アルゴリズムとして、この土地被覆ごとのBRDFパラメータを用いて、観測で得られた二酸化窒素の斜めコラム量を鉛直コラム量に変換するためのエアマスファクター(AMF)の計算に利用することとした。AMFは、太陽・衛星(観測者)・地表面上の観測地点の3点の幾何的位置(季節・時刻に依存する)を考慮した計算が出来るようにした。テストケースとして夏至・冬至における幾何的位置を用いたAMFの計算を実施してその有効性を確認した。本研究によりこのような地表面被覆タイプごとのBRDF特性を考慮した観測アルゴリズムを開発したことで、従来無視されてきた地表面反射率の方向依存性を、地表面被覆タイプも含めて考慮できることとなった。
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Atmospheric Measurement Techniques Discussions
巻: 7 ページ: 3443-3469
doi:10.5194/amtd-7-3443-2014