洞内に生成する石筍は鍾乳石の一種で、数十~数万年という長い時間をかけて生成する陸域の炭酸塩である。成長した間に周囲の環境由来の成分が含まれており、年代と共に成分分析をすることで、歴史にない過去の情報を復元することが可能である。そこで炭酸塩の主成分である炭素安定同位体に注目した。炭素安定同位体比は地表の植生に大きく依存する。しかしながら情報保存のメカニズムは明らかとなっていなかった。そこで本研究では過去の地表の植生(森林、草原)を石筍から読み取るため、情報保存のメカニズムを炭素安定同位体比の同位体平衡を、実際に洞内で沈殿生成実験、あるいはコンピュータシミュレーションを用いて解明した。
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