研究概要 |
貧栄養なサンゴ礁生態系が何故多様で生産性の高い環境となりえるのか長年の謎であったが,その答えの1つとして「サンゴ粘液」が注目されている.サンゴ粘液とはサンゴが体外に出す分泌物であり,細菌の成長を促進し物質循環を円滑に駆動させる役割があることが近年わかってきた.このサンゴ粘液が微生物食物連鎖全体の炭素フローを促進させる可能性があるため,本研究ではサンゴ粘液が微生物食物連鎖の炭素フローに与える影響を定量することを目的としている.平成24年度は,サンゴ粘液の微生物群集への影響をみるため,海水をサイズ分画し(細菌のみ, 0.8μm; 細菌+鞭毛虫, 5μm),それぞれエダコモンサンゴの培養水(粘液が含まれる)で培養を行い,細菌・鞭毛虫数,DOC,栄養塩の変動を調べた.エダコモンサンゴのいない培養水においても同様に実験を行った.実験は琉球大学瀬底実験所で行った.実験の結果,粘液由来のDOCは48時間以内に細菌に利用され,細胞数が増殖し,それに伴い鞭毛虫の増殖が確認された.
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