本研究では、アイスコア(氷河掘削によって得られる氷の円柱状試料)に含まれる花粉1粒ずつを種レベルで同定するために、全ゲノム増幅(WGA)法を取り入れたDNA 分析手法を新たに開発した。ロシア・アルタイ山脈のベルーハ氷河で掘削されたアイスコアを用いて、そこに含まれるマツ属花粉を材料に、開発した方法でDNA分析を実施したところ、氷河周辺に分布するシベリアマツ(Pinus sibirica)と同定された。また、過去100年間のマツ属花粉のDNA分析から、マツ属の優占種はシベリアマツであったと考えられた。
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