研究課題
本研究の目的は、地上と衛星観測データの統合的な解析により広葉樹林のフェノロジー(植物季節)と機能の時空間分布の変動を広域的に評価することである。本研究は、植生と気候の相互作用系を深く理解するために重要な課題の一つであり、遂行の結果、気象気候変動下における炭素・熱・水収支の時空間分布の変動評価の高精度化が期待される。本研究は、次の4項を実施した。(1)研究期間全体を通して、マレーシアの常緑広葉樹林(ランビルヒルズサイト)と日本の落葉広葉樹林(高山サイト)において、フェノロジー画像・天空画像・分光スペクトルデータを毎日取得した。(2)主に高山サイトにおいて、葉の形質と個葉の分光スペクトルデータを定期的に取得した。(3)群落全体および樹種ごとを対象にフェノロジー画像から抽出した赤・緑・青のデジタルナンバー(RGB)の時系列を抽出し、フェノロジー・分光スペクトル・生態観測データ・衛星データとの対応関係を調査した。(4)Terra/Aqua MODIS衛星により2001年から2013年に毎日観測された植生指数データを解析し、日本とボルネオの植生の時空間分布の変動を図化し、その変動要因を調査した。その結果、次の4項を明らかにした。(1)フェノロジー画像から抽出したRGBの時系列は、植生機能と関連した樹種ごとに異なる開花・開葉・紅葉・落葉の期日や様式の特徴を検出可能であること。(2)森林上部の色の変化をとらえるGRVIは、葉面積と森林上部の色の変化をとらえるNDVIやEVIと比べて、生育期間の終了の期日をより高精度に検出可能であること。(3)衛星で毎日観測したGRVIは、緯度や標高の環境勾配に起因した生育期間の時空間分布の変動の特徴を検出可能であること。(4)衛星で毎日観測したGRVIは、森林伐採後の主に油やしプランテーションへの改変による植生被覆の年々変動を検出可能であること。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
International Journal of Remote Sensing
巻: 35 ページ: 7910-7926
doi.org/10.1080/01431161.2014.97
Journal of Agriculture and Meteorology
巻: 70 ページ: 163-170
10.2480/agrmet.D-13-00021
Ecological Informatics
巻: 22 ページ: 58-68
10.1016/j.ecoinf.2014.05.00
http://www.pheno-eye.org