これまでは、アルタイ山脈中部でモンゴル西端に位置するタバンボグド地域にて観測を実施していたが、他地域にも機器の追加設置を実施した。アルタイ山脈のモンゴル・アルタイの中でも南部については、サンバガラフ山塊についての情報が得られている。さらに南部に位置し、これまで観測データの無かったムンクハイルハン山域に気象観測装置およびインターバルカメラを追加設置した。それにより、これまでとは異なる地点においてもデータを取得し、比較することができた。 タバンボグドと比較すると、ムンクハイルハンは氷河の存在形態が山頂付近を覆う氷帽タイプである。これは、サンバガラフ山塊と同様である。またムンクハイルハンの氷河は、存在する標高が高いため、気温が低い。特に6~8月の夏季には2℃程度低いことにより、氷河表面の融解が少なく抑えられるため、氷河の存在には適した環境であることが示唆される。降水量については大きな差は無かった。 モンゴルの研究協力者も自国の基金による観測を開始したため、中~長期的なモニタリングへ移行する。本研究で使用した機器は、モンゴルの研究協力者が引き続き利用し、データを取得することととした。 ロシア地域に関しては2013年以降でデータの取得が難しくなっている。そのため、隣国カザフスタンのデータから、ロシア・アルタイ地域においても氷河は、特に2012年と2014年で大きく負の質量収支となっていると推測した。さらに、国際学会にてロシア・アルタイの氷河に関する情報交換を行たため、そこで構築したネットワークを活用していく。
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