ダム下流域で生じる付着藻類の過剰な成長と藻類食者の消失といった、自然河川とは異なる生態系が生じるプロセスを解明するために、野外・室内実験を行った。実験の結果、ダムに起因する濁水の発生や流砂の減少などは、複合的な影響を付着藻類に及ぼし、場合によっては付着藻類の過剰な成長を引き起こすことが明らかとなった。また、水生昆虫などの藻類食者の減少は、ダムによる流砂の欠乏が影響するプロセスと、餌資源である付着藻類の変化が影響するプロセスが存在する可能性が示唆され、水生昆虫の消失もまた付着藻類の過剰な成長をもたらす一因であるといった、両者の密接な関係性が示された。
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