研究課題/領域番号 |
24710044
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 暖生 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10450214)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境政策 / 採取活動 / 排除 / 共有 / CPRs / テリトリー制 |
研究概要 |
初年度である平成24年度は、国内事例について幅広く情報収集することを計画しており、岩手県西和賀町、同県岩泉町、新潟県十日町市、富士山麓(山梨県)において、現地調査を実施した。この中で、本研究の関心の中心にある「排除と共有」について、多くの場合、近年に至っての変容があった、あるいは変容しつつあることが明らかになった。特に、「排除」の論理が一時的に高まったものの、現在は「共有」の論理が働いている傾向にあることが示唆され、今後の研究の重要な着目点となる。これを踏まえて、次年度以降の方法論を検討した。計画の中で分析方法に挙げていた既存のテリトリー制研究のレビューを開始した。スケジュールが調整できず、海外調査を行うことはできなかった。 本研究計画において重視している、関連研究分野の研究者を交えた研究会を平成24年度は2回実施した。第1回研究会は、申請者が自身の国内外フィールド調査をもとに、「排除と共有」の動態に関する仮説を提示した。同時に、類似のフィールド調査を行っている研究者を招き、福島県の事例、英国の事例、ノルウェーの事例を紹介してもらい、申請者が示した仮設の妥当性について討論した。この中で、採取を伴わない自然環境利用形態についても視野の中にとらえておく必要性が示唆された。第2回研究会は、申請者が既存のテリトリー制研究のレビュー(途中経過)から、大別してコスト―ベネフィット仮説によって説明しうる事象、社会制度またはイデオロギーによって説明しうる事象があることを示唆した。また、北海道において私有地を市民が共同的に管理・利用するようになった事例を、その中心的人物に紹介してもらい、採取利用を伴わない利用形態の動態分析の観点から議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた海外調査が日程調整が困難なため、実施することができなかった。また、国内事例調査も日程調整の困難により、当初の計画よりも事例数を減らさざるを得なかった。 一方、文献研究は予定通り行うことができた。研究会については、当初の計画では1回だったものの、2回実施することができ、研究に関するアイデア、連携ネットワークづくりに計画以上の大きな進展をみた。
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今後の研究の推進方策 |
2013年6月までは、国際学会大会の運営に中心的に携わらなければならないため、日程的に調査を実施することが難しいが、これが済み次第、遅れているフィールド調査を実施に移す。ただ、季節の問題で参与観察による調査は必ずしも有効ではなくなっている現実を踏まえ、聞き取り調査及び、現地資料調査によるエビデンスの取得、分析の方法論を十分に検討することとする。 文献レビューは引き続き、収集した文献を読み込み、平成24年度の研究会の中で得た仮説・示唆と照らし合わせながら、仮説のブラッシュアップを行う。 研究会を少なくとも年1回実施する。平成24年度の研究会で連携を確認した研究者との研究会を基本とするが、必要に応じて、新規に他の研究者との連携もはかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内調査5か所(静岡県富士宮市、岩手県西和賀町、同県岩泉町、新潟県十日町市、山形県西川町)を実施する。国内調査では、現地においてレンタカーを使用する。また、海外調査(北欧)を実施し、現地では案内人もしくは通訳を雇用する。 申請者の研究発表とゲストスピーカーあるいはコメンテーターを交えた研究会を実施し、会場費、スピーカーおよびコメンテーターの出張費・謝礼を支出する。 関連図書の購入および、論文複写、図書館での文献調査を行う。
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