本研究の目的は、エージェントベースモデルであるACEGES(Agent-based Computational Economics of the Global Energy System)モデルを用いて、地球規模のエネルギー需給、および資源量のシミュレーション分析を行うことである。本モデルでは国をエージェントとして扱うことにより、国レベルの意思決定を考慮したシナリオ分析が可能となる。 平成26年度は、平成25年度に実施した研究を発展させた。1つは、非在来型エネルギー資源の国レベルの解析の続きとそのまとめである。前年度に実施したモデルによるシミュレーションの結果を国別(特に在来型・非在来型資源の豊富な国に着目して)に統計的に解析した。本解析により、非在来型資源が存在することにより、エネルギー市場におけるマーケットパワーが変動する可能性があることを明らかにした。 次に、コスト構造を組み込んだモデルを用いて、エネルギー資源の統合分析を開始した。前2年度は、エネルギー資源の種類別(石油の分析では石油資源のみ、天然ガスの分析であれば天然ガスのみ)に分析を実施していたが、それらエネルギー資源の代替性を考慮して資源をを統合して解析したものである。 本研究課題により、「国」をエージェントとして扱う分析は可能となった。しかし、将来のエネルギーをより詳細に分析するには原子力発電や再生可能エネルギーも対象とする必要がある。この点が、今後の研究課題の1つとして残された。
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