染色体転座は白血病や固形癌をはじめ、様々な疾患の原因となりうる臨床的に重要な染色体異常であるが、その形成・形成抑制の分子機構は明らかではない。本研究では転座形成の必要条件である、複数のDNA二本鎖切断(DSB)同士の会合に影響を与える因子を同定した。DSB部位に集積するDNA修復蛋白質の「フォーカス」でDSBを可視化し、複数のDSB同士の会合頻度を調べた結果、Ku80、DNA-PKcs、およびATM蛋白質がDSB同士の会合を抑制していること、また53BP1蛋白質にはDSB同士の会合および転座形成を促進する働きがあることを明らかにした。
|