研究課題
本年度は、(1)前年度までに提案したナノ粉砕法により得たホタテ貝殻ナノ粒子を用いて、揮発性有機蒸気とその吸着量の関係を明らかにした。さらに(2)実際的なホタテ貝殻有効利用法を提案した。具体的には、(1)これまでに代表的な揮発性有機化合物であるホルムアルデヒドやn-ブタノールについては、ホタテ貝殻粉体の吸着性能を確認してきた。本年度は、ホタテ貝殻ナノ粒子の結晶子サイズや比表面積がトルエン蒸気吸着量に及ぼす影響を調べた。その結果、ホルムアルデヒドの吸着特性と同様の傾向が見られた。すなわち、ホタテ貝殻粉体の比表面積と単位質量当たりのトルエン吸着量の間には正の相関関係があり、また結晶子サイズの小さな粉体の方が単位面積当たりの吸着量が格段に大きくなった。(2)ホルムアルデヒドの放散源となる合板用接着剤にホタテ貝殻ナノ粒子を充填するとホルムアルデヒド放散を抑制でき、その効果は比表面積の大きな貝殻ナノ粒子を用いた方が高いことが分かった。開発した接着剤を使用すると、合板から放散されるホルムアルデヒドは、接着剤のみと比較して、40%程度抑制できた。また、ホルムアルデヒド放散量は、接着剤中におけるホタテ貝殻ナノ粒子の分散状態に影響を受けることが分かった。さらに、ホタテ貝殻ナノ粒子を乳化剤に用いて作製したエマルションの紫外線遮蔽効果を調べた。エマルションを石英ガラス板に塗布したサンプルの紫外線領域における遮蔽率を測定した結果、ホタテ貝殻ナノ粒子が紫外線遮蔽剤として働くことが分かった。しかし、紫外線遮蔽率は20%程度と低かった。紫外線遮蔽能は、乳化剤として使用するホタテ貝殻粉体の導入量に大きく影響を受けると考えられるため、ホタテ貝殻粉体表面を疎水化して、油相中へも粉体を導入した。その結果、遮蔽率は60%にまで向上した。
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