研究課題/領域番号 |
24710075
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
布浦 鉄兵 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (40444070)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 超臨界水 / チタン / 廃水処理 / 無機塩 / チタン酸塩 |
研究概要 |
超臨界水中でのチタン酸金属塩生成に関する検討を行うための連続式実験装置を作製し、各種無機塩(陽イオン側:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、陰イオン側:塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン)について検討を行った。まず所定濃度の無機塩水溶液を高温高圧条件(超臨界水条件)のチタン充填反応器内に所定時間流通したのちに反応器を常温常圧に戻して内部に純水を流通させ、超臨界水条件で析出した塩を回収した。採取した流出液や流出ガスの分析により各種金属陽イオンや窒素・リン・硫黄等について反応器前後のマテリアルバランスを測定し、反応器内でチタンと反応した物質量を求めた。また、実験後のチタン粒子を顕微鏡により微視的に観察し、チタン表面での物質生成について検討を行った。 温度400℃~500℃、圧力25MPaにおける検討により、硝酸ナトリウムや炭酸カリウム等複数種の塩について、超臨界水条件での溶解度の低下による理論析出量以上の集積が反応器内で発生していることが確認された。また、走査型電子顕微鏡による観察によりチタン粒子表面上に針状の結晶が形成されていることが確認され、エネルギー分散型X線分析による元素分析結果からチタン酸ナトリウム等のチタン酸塩であることが推定された。以上の結果から、複数種の塩について、超臨界水条件下にてチタンと反応してチタン酸塩を生成することが示唆された。また、各種硝酸塩については、超臨界水条件での流通に伴いチタン充填反応器内で硝酸イオンが還元され亜硝酸イオン、アンモニウムイオン、窒素ガスが生成することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種無機塩水溶液を用いた実験検討について、概ね当初の実験計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に明らかにした各種チタン酸塩の形成する条件において、まずチタン酸塩を生成させたのちにモデル有機物質(酢酸及びフェノール)を流通させ、超臨界水酸化分解反応特性の測定を行うが、これまでの検討により特にチタン酸塩の生成量が大きいと考えられる無機塩に絞って重点的に検討を行うことで研究の推進を図る。続く、触媒形成と触媒反応を同時に行わせる系での検討も、同様に触媒反応性の高いものに絞って重点的に検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
超臨界水酸化の実験検討を行うにあたり、実験装置の配管を改造する必要があるため(具体的には、反応器内に酸化剤を導入するラインを増設する)、配管材料や継ぎ手などの消耗品の購入のために物品費を計上している。酸化剤やモデル有機物質等の試薬購入費も含まれている。また、学会発表等の研究成果発表のために旅費及びその他経費を計上している。
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