超臨界水中でのチタン酸金属塩生成に関する検討を行うための連続式実験装置を作製し、各種無機塩(陽イオン側:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、陰イオン側:塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン)について検討した。まず所定濃度の無機塩水溶液を高温高圧条件(超臨界水条件)のチタン充填反応器内に流通した後に反応器を常温常圧に戻して純水を流通させ、超臨界水条件で析出した塩を回収した。採取した液体・気体の分析によりマテリアルバランスを測定し、反応器内でチタンと反応した物質量を求めた。また、チタン粒子の顕微鏡観察によりチタン表面での物質生成について検討した。 次に、実験装置に酸化剤の導入ラインを増設して超臨界水酸化に関する検討を行うための連続式実験装置を作製し、チタン酸塩の存在下におけるモデル有機物質(酢酸及びフェノール)の超臨界水酸化反応特性に関する検討を行った。まず所定濃度の無機塩水溶液を高温高圧条件(超臨界水条件)のチタン充填反応器内に所定時間流通して反応器内に所定のチタン酸塩を生成したのちに、所定濃度のモデル有機物質水溶液と過酸化水素(酸化剤)水溶液とを反応器内に圧送して超臨界水酸化反応に供し、流出する液体及び気体を捕集・分析し反応特性の測定を行った。 温度400℃~500℃、圧力25MPaにおける検討により、複数種の塩について、溶解度低下による以上の集積が反応器内で発生していることが確認された。また、顕微鏡観察によりチタン表面上での針状結晶の形成が確認され、エネルギー分散型X線分析による元素分析結果からチタン酸ナトリウム等のチタン酸塩であることが推定された。以上の結果から、複数種の塩について、超臨界水条件下にてチタンと反応してチタン酸塩を生成することが示唆された。また、各種の無機塩について陰イオンの還元挙動など超臨界水条件での挙動を明らかにした。
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