研究課題
世界中の水源において富栄養化が進行しており、藍藻類による様々な弊害が報告されている。とくに水利用上において憂慮すべきは、人畜に多大な被害を与えているとともに富栄養化した水源において急激に増殖しやすい、強力な有毒物質を産生する藍藻類である。一般的な浄水処理法では、有毒物質は分解除去することはできない。また有毒物質は藍藻類の細胞内で保持されるため、有毒物質産生藍藻類細胞を除去する際に細胞から洩れ出てくるため、細胞とともに分解除去する必要がある。藍藻類産生有毒物質の中でmicrocystinは、物理化学的に分解されにくく生物学的分解が主な除去経路となっている。そのため本研究では、microcystin分解活性制御手法を構築するために、室内実験環境および実環境の両面からmicrocystin分解活性に関わる環境因子および遺伝子やタンパク質を同定することを本研究の目的として研究を展開している。平成24年度に室内実験環境で見いだした環境因子と同様の因子がmicocystin分解活性に影響を与えているを示す結果を得た。また生物学的浄水処理装置内の微生物群集構造およびmicrocystin分解菌の挙動を解析したところ、初発microcystin分解酵素MlrAのアミノ酸配列は高度に保存されていることが考えられた。これまでの研究成果よりmicrocystin分解とMlrAが1対1の対応関係にあると考えられる結果を得ており 、初発microcystin分解酵素MlrAのアミノ酸配列が高度に保存されているためであることが考えられた。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度に見いだしたmicrocystin分解活性に影響を与える環境因子においてmicrocystin分解菌の分子生物学的挙動を解析するとともに水環境中や生物学的浄水処理装置内の微生物群集構造解析およびmicrocystin分解菌の挙動と環境因子との関係について解析した。その結果、室内実験環境で見いだした環境因子と同様の因子が影響を与えていることが考えられた。また、初発microcystin分解酵素MlrAのアミノ酸配列は高度に保存されていることが考えられた。これまでの研究成果よりmicrocystin分解とMlrAが1対1の対応関係にあると考えられる結果を得ており 、初発microcystin分解酵素MlrAのアミノ酸配列が高度に保存されているためであることが考えられた。以上の成果の一部を学術誌に原著論文を掲載させた。
これまでに研究期間で得たmicrocystin分解活性に及ぼす環境因子について分子生物学的解析を加えるとともに、その環境因子をもとにして水環境中のmicrocystin分解菌の挙動およびmicrocystin分解活性に与えている影響がどの程度なのか推測するためにモニタリング調査を継続して実施する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Maejo International Journal of Science and Technology
巻: 7 (Special Issue) ページ: S22-35
http://www2.toyo.ac.jp/~k_shimizu/synthetic_ecology/welcome.html