研究課題
本研究の目的は,アルミニウム系化合物を用いた,枯渇かつ有限資源であるリンの回収および再資源化である。平成24年度は,ベーマイトを使用した新規造粒アルミニウム系化合物の創製条件およびその諸物性について評価・検討を行った。本年度(平成25年度)は,①創製した新規造粒アルミニウム系化合物によるリン酸吸着能に関する評価,②新規造粒アルミニウム系化合物によるリン酸の吸着機構の解明,③回収したリン酸の再資源化について検討を実施した。結合剤としてポリエチレンテレフタラートを用い,ベーマイトの造粒を実施した。リン酸の吸着量は,結合剤の含有率が30%のもの,また粒子径が小さいものが最も高値を示した。新規造粒アルミニウム系化合物は,リン酸吸着能を示し,その吸着量は温度依存的に増大した。また,Freundlich式およびLangmuir式に適合することが分かった。水溶液pHは,リン酸吸着に影響を及ぼすことを明らかとした。さらに,水酸化ナトリウム水溶液を使用することにより,回収したリン酸を脱着できることがわかり,少なくとも3回は繰り返し吸・脱着できることを明らかとした。本研究期間(平成24-25年度)では,ポリエチレンテレフタラートを用いることでアルミニウム系化合物であるベーマイトを造粒できることが明らかとなった。また,水酸化ナトリウム水溶液を用いることにより,リン酸の脱着が可能であることがわかり,繰り返し使用できることを明らかとした。以上のことから,環境水浄化のみならずリンの再資源化に寄与できることが分かった。
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Chemical Pharmaceutical Bulletin
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