研究課題/領域番号 |
24710084
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
ウー ラダー 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (90544560)
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キーワード | 国際情報交換 イギリス / 第一原理分子動力学法 / 元素戦略 / 遮熱コーティング / 国際情報交換 台湾 |
研究概要 |
発電用ガスタービン及び航空機エンジンの熱効率向上によるCO2削減に最も期待される次世代の耐熱コーティング材にPt、Ir、Re、Ruなどの白金族希少元素を添加することにより耐酸化性を著しく向上させることは近年の傾向である。しかし、特定の地層にppm オーダーしか含まれない白金資源の採掘には、大きな環境破壊が伴い、自給率が乏しい日本にとって、基幹産業を支える高付加価値な部材の原料供給リスクという問題がある。 本研究では、現実に近い高温酸化界面(Ni,Pt)3Al/Al2O3のモデルを構築し、第一原理分子動力学法に基づく白金族元素添加の効果を解析すると共に、実験を行い酸化界面において白金族元素と同様な誘起反応が再現できる代替元素の探索を行っている。研究代表者は第一原理計算プログラム採用し、Nose-Hoover法に基づいて化合物の添加による界面における誘起反応を評価し、白金の添加にり(Al 原子をPt 原子と置換する)界面の結晶構造が大きく変化する。特に結晶構造が添加元素の価電子濃度に大きく依存することが分かってきた。価電子が原子間で共有され、原子と空孔などの結合エネルギーの源であり、酸化に必要とされる原子の拡散は結合エネルギーに強く依存することから、価電子濃度が高いほど、結合エネルギーが大きく、原子の拡散現像が遅くなり、酸化物の成長を抑えることができる。 この材料の高温特性を決める稀金属及び白金資源の役割を理解し、価電子濃度などの構築による代替元素が創出されると、稀金属及び白金資源の完全代替材料や使用量の大幅低減技術開発を加速することができ、大きな学術的な波及が確立できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ni-Al-(0%, 5%, 10%, 15%Pt)三元系材料を評価し、白金元素の添加により、生成した酸化層のミクロ組織から界面の原子配列至るまで、耐酸化性機能向上メカニズムを解明してきた。そして、繰返し酸化試験で耐熱機能材料(コート)/トップコート/基材界面の密着性、コーティングシステムの耐久性も調査しました。 第一原理分子動力学シミュレーションの結果では、白金の添加により(Al 原子をPt 原子と置換する)界面の結晶構造が大きく変化する。高温酸化界面(Ni,Pt)3Al/Al2O3の密着性などの変化も計算し、酸化界面における添加元素(白金)の誘起反応を解明してきた。特に結晶構造が添加元素の価電子濃度に大きく依存することが分かってきた。 電子の足し算の理論を用い、元素の化学反応性は原子内の核外電子の状態で決まる理論に基づき、原子をいくつか組み合わせた化合物は、白金元素と同様な誘起反応や同様な役割を評価した。例えば、タングステン原子(価電子6個:5d46s2)の原子配列に、炭素原子(価電子4個:2s2p2)に含まれる電子を移動すると白金(価電子10個: 5d96s1)のような価電子濃度が再現できた。白金族元素と同様な役割が再現可能と計算された代替材料は先ずナノ粒子として合成し、Ni-Al-(X%ナノ粒子)三元系材料を作成し、代替材料の添加により、生成した酸化層のミクロ組織から耐酸化性機能向上特性に至るまでを評価しています。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、有効と検証された代替材料に対し、最適な組成を決定する。化合物の溶射用粉末を作製し、基材上にプラズマ放射によって施工する。電子ビーム物理蒸着(EB-PVD)によるセラミックストップコート(遮熱コート:TBC)をプラズマ放射によって施工したコーティングの上にさらに施工し、繰返し酸化試験(1100°C・1時間)及びコーティングの剥離寿命を含む実証試験を実施する。 実際に施工した遮熱コーティングシステムにおいて酸化抑制の有無を検証し、耐熱機能材料(コート)/トップコート/基材界面の密着性、コーティングシステムの耐久性を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に代替材料の作製と検証を行い、実際にコーティングシステム実証試験を実施する。これらの工程は比較的高額な予算を必要とするため、化合物の溶射用粉末と電子ビーム物理蒸着(EB-PVD)用のインゴットを計上した。また国内外の学会において論文発表を行うため、旅費を必要とする。 1. 化合物の溶射用粉末を作製し、基材上にプラズマ放射によって施工する。2. 電子ビーム物理蒸着(EB-PVD)によるセラミックストップコート(遮熱コート:TBC)をプラズマ放射によって施工したコーティングの上にさらに施工し、繰返し酸化試験(1100°C・1時間)及びコーティングの剥離寿命を含む実証試験を実施する。3. 実際に施工した遮熱コーティングシステムにおいて酸化抑制の有無を検証し、耐熱機能材料(コート)/トップコート/基材界面の密着性、コーティングシステムの耐久性を調査する。
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