研究課題/領域番号 |
24710086
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
和嶋 隆昌 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00380808)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高付加価値化 / 高炉スラグ / 未利用廃熱 / アルカリ溶融反応 / 冷却過程 |
研究概要 |
本研究の目的は、アルカリ溶融処理に溶融高炉スラグの未利用廃熱を活用することでエネルギーの投入なしで高機能素材を合成可能な高反応性前駆体を得る溶融処理法を開発し、新たなスラグの高付加価値化技術を確立することである。本年度は、「高炉スラグから得られた前駆体からの機能性素材の作成と評価」と「冷却溶融プロセスの評価技術の確立」に関する研究を実施した。 高炉スラグにアルカリ溶融処理を施して得られた前駆体から機能性素材を作成した。高炉スラグに1.6重量倍の水酸化ナトリウムを添加し、乳鉢にて十分に混合した後に600oCで1時間加熱することで反応性の高い前駆体が作成できた。作成した前駆体を蒸留水に添加し、室温で撹拌することで層状複水酸化物であるハイドロカルマイトを含む生成物(ハイドロ複合体)が得られた。得られた生成物は、リンに対して高い吸着容量と選択性を示し、pH 5以上の中性~アルカリ性の溶液でリンの吸着能を示した。ハイドロ複合体を耐圧容器にて80oCで加熱することでハイドロガーネットの一種であるカトアイトが生成し、また、加熱の際にEDTAを反応液に添加することでゼオライトXやゼオライトAが生成した。このように、高炉スラグをアルカリ溶融処理し高い反応性の前駆体を得ることで、様々な機能性素材が得られることがわかった。また、高い反応性の前駆体を効率的にえるプロセスを検討するために高炉スラグを1500oCに加熱し冷却過程で水酸化ナトリウムを添加することで溶融処理を行えることがわかり、その過程を調べるための評価装置が作成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験を行う際に適した冷却速度を保つための手順や溶融剤の添加方法など試行錯誤することが多く、うまく評価できる実験条件と実験装置を準備するのに予定よりも時間を要したが、準備も整い概ね順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、高炉スラグを白金坩堝中に入れ、電気炉で1500℃に加熱して高温溶融スラグを作成し、自然放冷による冷却過程において溶融剤を添加することで前駆体の作成を試みる。放射温度計による冷却中の温度挙動や冷却後のスラグ中における前駆体の生成量や生成状態、得られた前駆体の反応性を調べる。これらの情報をもとに溶融反応挙動を解析し、アルカリ溶融メカニズムを検討する。また、高反応性の前駆体を得るための最適条件を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を円滑にすすめるために消耗品である試薬やガラス器具、白金坩堝の購入と研究成果の論文発表に関わる経費として使用する予定である。
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