研究課題/領域番号 |
24710092
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
篠原 佑也 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (60451861)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | X線光子相関分光法 / マイクロレオロジー |
研究概要 |
本研究課題では媒質に加えたナノ粒子の運動性の計測を通して、その媒質のミクロスコピックな粘弾性・力学特性を理解することを目的としている。今年度はX線光子相関分光法によるナノ結晶の並進運動測定と準単色X線回折による回転運動測定の同時計測法の確立を目的として研究を実施した。 大型放射光施設SPring-8のBL40XUで得られる準単色・準コヒーレントな大強度X線を、カーボンブラックのナノ結晶を充填したスチレンブタジエンゴムに照射し、小角散乱領域における時間分割スペックル像測定(X線光子相関分光)と高角散乱領域における回折斑点の時間分割測定(回折X線追跡法)とを同時に実施することに成功し、それぞれの緩和時間を測定することに成功した。これによりこれまでの手法では困難であったナノ粒子の並進運動および回転運動の同時測定かつ情報の分離を実施することができ、媒質中でのナノ粒子の運動性に関する詳細な情報を測定することのできる手法を提供することが可能となった。ナノコンポジット材料などではマクロスコピックな物性を制御・理解するために、このようなミクロな観点からの構造・運動性の理解が求められており、本実験手法の成功は今後の研究分野の発展に寄与すると考えられる。本実験に関しては論文投稿中である。 X線光子相関分光法、回折X線追跡法ともに2次元動画の高速なデータ処理が必要であり、今年度はデータ処理系の開発も予定していた。本事項に関しては高速ワークステーションを購入し、現在環境を構築中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定系の構築に関しては予定通り進捗した。データ処理系の開発に関しては、ワークステーションの導入に時間がかかったが、現在、次回の実験に間に合うように進めており特に問題となる遅れはない。試料に関して、分散溶液に関しては一部遅れているが、ナノコンポジット材料のモデル試料を用いた実験には成功しており、こちらも特に問題とはなっていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続きデータ処理系の構築を進めるとともに、より最適化した試料の作成に注力し、単に運動性を計測するだけではなく、試料のマクロな物性とミクロな構造・ダイナミクスとの関連解明を目指して研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験の際のデータ容量がきわめて大きいため、大容量ハードディスクの購入が必須である。またワークステーションの環境を整備するためにコンパイラなどの購入が必要である。またSPring-8実験に関連した旅費・荷物運搬費や、試料に用いる試薬などの購入を予定している。
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