研究課題/領域番号 |
24710095
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
内田 貴司 東洋大学, 学際・融合科学研究科, 准教授 (90470343)
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キーワード | フラーレン / イオン源プラズマ / 原子内包フラーレン / 電子サイクロトロン共鳴 |
研究概要 |
本研究における2つの課題、1.電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源プラズマ中での原子内包フラーレン生成の実証と2.プラズマを用いた処理による表面修飾技術の構築について、それぞれ以下の研究を行った。 前者の課題については、塩化鉄を鉄源に用いたプラズマ生成についてとその鉄とフラーレンの混合プラズマを用いた鉄内包フラーレンの生成について試みた。塩化鉄の鉄源としての性能は高く、プラズマ中のイオンとしての主要な構成要素は鉄であった。そのようにして作った鉄とフラーレンの混合プラズマを生成し鉄内包フラーレンイオンの検出を試みたが検出することは出来なかった。 後者の課題については、平成24年度に設計製作した、2.45GHzセミダイポールアンテナECRプラズマ源の性能評価を行い、水蒸気によるプラズマ生成とそのプラズマを用いたフラーレン薄膜の処理を行った。フラーレン薄膜の水蒸気プラズマ処理については、水の接触角により評価を行いプラズマ処理による接触角の減少を確認できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題は前述の通り、1.電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源プラズマ中での原子内包フラーレン生成の実証と2.プラズマを用いた処理による表面修飾技術の構築であるが、その両課題について計画の通りに検討を進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源プラズマ中での原子内包フラーレン生成の実証という課題については、平成24年度、25年度の検討では、実証が出来なかった。本研究の目的は「原子内包フラーレンの生成と表面修飾を連続的に行うこと」であるので、原子内包フラーレンの生成について当初計画を変更し、イオン照射法により原子内包フラーレンを生成し、その原子内包フラーレンに対して表面修飾を行うものとする。 従って、今後は、鉄イオン照射による鉄内包フラーレンの生成と、鉄内包フラーレンの表面修飾という2つの技術開発を行う。特に、鉄イオン照射による鉄内包フラーレン生成については、多量に生成物を得るための連続プロセスについて既に検討済みであり、今後速やかに変更した研究計画を遂行することが出来る。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度の研究の遂行において、研究目的達成のために研究計画の変更が有効であると判断し、次年度に当該年度と次年度予算を合わせて使用し、変更した研究計画を遂行するため、当該年度の使用額に変更が生じ次年度使用額が生じた。具体的には、当該年度は混合プラズマを用いた原子内包フラーレンの生成と、プラズマ処理によるフラーレンの表面修飾の大きく2つの個別課題について研究したが、特に前者課題について、原子内包フラーレンの生成手法を混合プラズマを用いた方法からイオン照射による方法へと変更することが有効であると判断した。イオン照射による効率的な生成法実現のため、当該年度と次年度の予算を合わせて使用する。なお当該年度は研究自体は行い成果を得たが、結果として研究費は使用しなかった。 次年度と当該年度の予算を合わせて、主に基板へのフラーレンの堆積とその堆積したフラーレンに対する鉄イオンビーム照射のための物品費として用いる。それ以外には基板等の消耗品や試薬等の物品、学会等の出張旅費、アルバイトに関する人件費に用いる予定である。
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